こんにちは。ディレ協広報部の吉田です。4年目Webデザイナーです。
今回は、2月27日(土)に開催された「0からのWebディレクション講座:運用編」をレポートします。
講師は株式会社ビットエーのCMOで、ディレ協の会長としてもおなじみ中村健太さん。これまで大手企業サービスのグロースを数多くこなしてきた、歴戦のディレクターさんです。
随時バージョンアップを繰り返してきた『0からのWebディレクション講座:運用編』ですが、今回は久しぶりのメジャーアップデートだとかで、運用フェーズで本当に行うべき解析提案と、その仮説を導くための手法「コンセプトダイアグラム」についての講演になってました。
ちなみにタイムテーブルはこんなかんじ。
13~14 | 中村さんによるセミナートーク |
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14~16 | コンセプトダイアグラムを作るワークショップ |
16~17 | 各チーム成果発表&講評 |
実は、コンセプトダイアグラムを作るワークは0ディレでも初めての試み。
着目すべきユーザー像を、新しい切り口で見出す方法を学びました。その方法は、レポート内でも説明したいと思います。
運用フェーズで求められるのは「仮説をたてて、提案すること」
講演は、「こんな状態に陥ってませんか?」という問題提起から始まりました。
- とりあえずPV、UU、CVRを追いかけてる
- GoogleAnalyticsの数字をキレイに整えることが解析だと思ってる
- うまくいくと嬉しい、うまくいかなった時は原因がよくわからない
…はい、陥ってます。とりあえずGAの操作して満足しているような気がします…。
で、中村さん曰く、「本当に必要な仕事は、データをきれいにまとめることじゃない。【ダメなところを見つけて、仮説をたてて、提案をすること】=【解析提案の力】こそが、サイト運用者に求められている能力だよね」とのこと。
有効な仮説を立てるのに、ディレクターが一人で数字を見ていたってうまくいくはずがない。
サイトに関わる人みんなを巻き込んでユーザーの行動を洗い出し、そこから「このユーザーにアプローチすればコンバージョンが増える!」という仮説を立て、改善方法をチーム全体で考えなきゃだめなんだとか。
そして、そんなユーザー状態の見える化に有効な手法の一つとして今回使われたのが、「コンセプトダイアグラム」という手法でした。
ペルソナとは違う、「コンセプトダイアグラム」という方法
これまで、私にとってユーザー像を作る一般的な方法といえば、具体的な「ペルソナ」を決め、それを「カスタマージャーニーマップ」に落とし込むというものでした。
が、しかし。
Webサイトって、かわるがわる様々な人間が訪れ、絶えずシチュエーションと心理状態を変化させていくのが普通で当たり前の場なんですよね。
つまり前提として、ペルソナっては入れ替わるんですよ。
中村さん曰く「20代OL、占い好きってペルソナを作っても、そもそも四六時中ずーっと占いの事考えてる20代OLなんていないでしょ?」だとか。説得力のある例ですね…。
セグメントでバサッと切ってしまうと、ユーザーの物語が見えないんです。
だから、コンセプトダイアグラムでは「ユーザーのシチュエーションと心理の変化をまとめて、マトリクスに落とし込む」ことを考えていくんだとか。
う…うーーーん?わかったような分からないような。。
コンセプトダイアグラムの作り方と、実際の改善例
コンセプトダイアグラムの作り方をすごくざっくり説明すると
- ユーザー心理の変化→縦軸
- ユーザーシチュエーションの変化→横軸
とした画面を作り、その中でユーザーの流れを図式化する、となります。
実際にはこんなルールもなくって、縦軸も横軸も自由に考えていいものらしいんですが、今回そこまで枠組みを取っ払ってしまうと何から考えていいのか分からなくなるでしょ?とのことで、結構シンプルに考えられるよう工夫されていたようでした。
ちなみに講演では実際にこのダイアグラムを活かして成果を上げた事例として某巨大不動産サイトの例を紹介。実際に使われた観点設計を見ながらの講演はなんだかドキドキしちゃいました。
残念ながらあんまり細かく内容をここに書いてしまうことはできないんです。
が、初動の段階では考えていることも心理状態もシチュエーションも異なる2軸のユーザーが、実は似たような事を考えている『惜しいポイント』を探しだして仮説 ⇒ 検証 ⇒ 改善していく流れはメカラウロコ。
最終的に大幅なCV率アップを達成したというのも、納得でした。
ユーザーを知るために、あえて数字から離れる
ちなみにこの例のポイントは、「仮説を立てるまで画面も数字も見ていない」ことだそう。
「無限にあるデータの中で、どこに着目するべきかは人間の感情にフォーカスしないと見えてこない」と中村さんは語ります。
流れをまとめると…
- どんな人に来てほしいか?考える
- その人がなんて思ったら先に進むか?を妄想する
- ユーザーをなんとなく上手いことわけて分類する
- その中からお金に繋がりそうなーユーザーを見つけ出して名前づけ
- 改善策をたてる。
と、こんな感じでしょうか。
それから、具体的に分析して数値をとり、提案に繋げる。それこそが、「解析提案の力」だという話でした。
私自身、Webデザイナーとして講演を聞いて、自分は「恋したい30代女性が好きそうなデザイン」みたいなセグメントだけ考えて作ってるなーと反省しました。
「この心理、このシチュエーションに至ったユーザーにこの部分を訴求しよう!」ってところまでデザインに落とし込めたら、もっと売り上げに貢献できそう。デザイン業務への考え方も変わる講座でした。
盛り上がったワークと、ミートアップの様子をご紹介!
ワークショップでは、4~5人のチームに分かれてお題サイトのコンセプトダイアグラムを作り、改善提案を考えました。
写真を撮らせて頂いたので、様子をご紹介しますね。
途中、お菓子でエネルギー補給しながら、どのチームも最後の最後まで考え抜いていました。
最後は全チーム発表&講評。
店舗来客数など、「GoogleAnalyticsだけでは見えてこないリアル」に注目したチームが多かった印象。
みなさん、「いつもの分析と違う!」という手ごたえを感じたようでした。
そして恒例のミートアップ。お疲れ様でした!
シリーズ化している0ディレですが、その内容は毎回進化を遂げています。
0ディレが初めての人も、もう一通り行ってみたよって人も、ぜひぜひ一度、二度三度(笑)行ってみてくださいね!