【レポート】上流工程に必要なスキルとは?タワーゲームワークショップ

こんにちは!この春にディレ協関西支部から、東京本部に移籍した広報部の中間です!

今回は、以下のどれかに当てはまる人にオススメのイベントレポートです。

  • ディレクターとして、キャリアアップに悩んでいる
  • 制作の進行管理だけをする日々に手詰まりを感じている
  • 大型案件の上流工程からプロジェクトに関わりたい

チームビルディングやマネジメントの本を読んだり、イベントなどで話を聞いて、頭でわかったつもりでも、いざ、どういう行動を起こせばいいかわからないってことないですか?

そんな悩み多きディレクターに向けて、キャリアアップのヒントになるタワーゲームのワークショップを開催しました。

講師の十返(とがえり)さんは、Webディレクターとして様々な案件に携わった後、現在はプロジェクトマネジメントの専門家として日本PMO協会で事務局長を務める傍ら、多数の教育機関での講義や官公庁や企業向けの研修で活躍されています。

今回のワークショップはコップと竹串を使う(!)という、いつものディレ協のイベントとひと味違うものでしたが、現実のプロジェクトに置き換え可能な、手応えのあるものになりました。

「目的、目標、計画」をしっかりと設定し、見直しのための「ふりかえり」を行うこと。

一見とても基本的なことですが、意外とできていないからプロジェクトって難しいんですよね…。

ちなみに、世界の経済活動(GDP)の4分の1以上が、プロジェクト活動によって行われているといわれているそうで、古くはピラミッドから宇宙計画まで、「プロジェクト」は人類の経済活動になくてはならないものだそうです。

必要なのはバランス感覚!

プロジェクトマネジメントを極めるには、PMBOK® (Project Management Body of Knowledge) ガイドなど様々な知識体系もありますが、一朝一夕で身につけるのは難しく、多くのWebディレクターにとっては日々の業務には活用しにくいところもあります。

 

ワークショップ前の講義では、十返さんが膨大な情報量のPMBOK®ガイドやこれまでの経験から、ディレクターのために必要なエッセンスとポイントをピックアップしてくれました。

 

プロジェクトの成功は、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(納期)の3大要素を満たしつつ、ステークホルダー(=関係者)の満足度も満たすのが必須条件

クオリティばかり追い求めてもいけないし、コストを無駄に割いてもいけません。

 

要するにバランスがとっても大事ということ!

今回のワークショップは、このバランス感覚を養うトレーニングともいえます。

全員起立!プロジェクトを「見える化」したタワー

タワーゲームのルールは至ってシンプルです。

  • 目 標 :時間内に4チームの中で1番高い『タワー』の作成すること
  • 制限時間:20分

▼資材

  • 紙コップ :5個
  • 竹 串  :20本
  • はさみ   :1本

資材はこちら。

絵面はだいぶ地味ですが、侮ることなかれ!

ルールも資材もシンプルですが、このゲーム、結構難しいんですよ…!
(以前、TEDで話題になったマシュマロチャレンジもこのゲームに似ています。)

実際のプロジェクトさながらに、計画を練るほど時間が経ってしまったり、
紙に書いた設計図通りにいかなかったりと、戸惑っていた様子でしたが、
じょじょに白熱して参加者のみなさんが椅子から立ち上がるほど熱中していました。

どのチームも完璧に満足する結果は出なかったようですが、
「ふりかえり」として、自分たちの結果や反省点を言葉にすることで客観視していました。

計画は変更されることが前提

その後、十返さんから再び講義。

プロジェクトマネジメントについて、以下のようなヒントが提示されていました。

 

  • プロジェクトとは未知の領域への挑戦がほとんど。
  • 最初に決めた計画に固執することなく、変化を怖れず勇気を持って変更をすることも大事。

 

高くしようとするほど安定感がなくなり、傾きやすくなるタワーには臨機応変な「変更管理」が結果を左右するということですね。

さぁ、それを踏まえて2回目に挑戦!
今度は、高さ(Quality)に加え、材料(Cost)・時間(Delivery)の制約が増え、さらにプロジェクトらしくなります。

制約の課せられた中で、より高いタワーを作るこのミッションは、
無形の「プロジェクト」という概念を「タワー」として目に見えるかたちにできることから、プロジェクトマネジメントの基礎を養うワークショップ「タワー・ゲーム」としてPMI教育財団によって開発され、世界中で実践されているものなんです。(材料は100均でそろえられます。)

2回目は、制約が増えたものの、ほとんどのチームが1回目よりも建設的に役割分担、計画、時間配分について話し合い、効率がアップし、団結しているようにみえました。

優勝したのは、途中で設計図通りにいかないことがわかってから、冷静に計画変更をしたチームでした。

 

参加者の方のコメントにもありましたが、タワーとして目に見える形になっているので、進捗の良し悪しがとてもわかりやすいです。

実際のプロジェクトもこのタワーのようにわかりやすければ…と私も思いました。

プロジェクトマネジメント≒ディレクション?

プロジェクト・マネジャーとディレクターは職能が異なる部分はありますが、それぞれの資質として重要な、判断力、調整力、コミュニケーション力といったヒューマンスキルの部分は重なるところがあります。

 

肩書きの定義に縛られず、プロジェクトマネジメントを学ぶことであなたが担当するプロジェクトの質が変わってくるかもしれません。

さらに、広い視野でマネジメントができるようになれば、デスマーチと無縁の残業ゼロの働きかたができるかもしれません。

また、AIを使ったプロジェクトやイノベーションになるようなサービス開発など新しくて面白い仕事への広がりも期待できます。

いろいろな可能性な感じたワークショップでした。

 

ワークショップって、初対面の人といきなり共同作業をすることになるので、敬遠気味という人もいるかもしれませんが、純粋に課題について議論を交わしたり、しがらみのない第三者の客観的な意見が聞ける醍醐味があります。

「チームビルディング」を短時間で体感できるので、思い切って参加すると普段できない体験ができるかもしれませんよ!

 

参考資料

◆スライド資料(当日表示したもの)

https://www.slideshare.net/togaeri/ss-78635229

 

◆The Tower Game / PMI EF(「タワー・ゲーム②」で使用した説明資料)

※ダウンロードには無料登録が必要です。

http://pmief.org/learning-resources/learning-resources-library/the-tower-game

この記事を書いた人

中間じゅん